分析ソフトウェアが、サウスカロライナ州の食事支援プログラムに参加する人々に多大な貢献を行っています

サウスカロライナ州 調査統計局

サウスカロライナ州 ORS (logo)

業種:官公庁

※従業員数等の企業情報は、事例掲載時点でのデータです

サウスカロライナ州 調査統計局の導入事例

 2006年に、サウスカロライナ州副知事のアンドレ バウアー (Andre Bauer) 氏がサウスカロライナ州政府の高齢者食事支援プログラムのために、連邦政府からの資金を補う州の予算措置を検討していました。州の多くの高齢者が満足な食事ができておらず、そのため不健康であることが分かっていたからです。
 しかしながら、州議会議員がその予算措置を支持するように説得するために、高齢者の食事の内容と健康状態の改善の関係に関する証拠、少なくとも説得力のある相関関係を示す資料が必要でした。
 バウアー氏は高齢化対策室を率いています。目的の達成のため、予算・統制理事会の一部であるサウスカロライナ州調査統計局 (South Carolina Office of Research and Statistics = ORS) に向かいました。
 調査統計局に依頼したのは、アメリカ高齢者法に基づき連邦基金から支払われている高齢者への食事の支給が、彼らの健康状態の改善と相関していることを示して欲しいということでした。

 NovaView®ビジネスインテリジェンス (BI) ソフトウェア、Panorama Softwareが提供しており、MicrosoftのSQL Serverデータベースのフロントエンドとして活用されている、を使用することで、ORSは求められていた相関関係を立証することができました。2006年6月に、サウスカロライナ州議会は、2007年の食事支援プログラムとして州予算から290万ドルを支出することを決定しました。
 これがORSがBIツールを利用して発見している相関関係の一例です。それには、約20の州政府の機関や部局、メディケア (Medicare) 、メディケイド (Medicaid) 、病院やその他機関から個人情報が特定されないようにしたデータを取り込むことによってなされています。

 「私たちは州の予算をプログラム、州政府の機関や部局、プライベートセクターや非営利団体へ割り当てる事ができます」とORSの45人からなる保健・人口動態調査グループのチーフであるピート ベイレイ (Pete Bailey) 氏は語ります。
 「私たちは予算の執行状況を監視し、評価を行うことが可能ですし、予算を継続して割り当てることもできます。もしプログラムがうまくいかない場合、議会は問題がどこにあるかを把握し、それを解決することができます」ORSの目標は、BIツールを使用して州政府の機関や部局及び各種組織が使命を達成することを支援することです。
 データを所有する関係団体との交渉に数年を費やし、データベースの構築にはさらに時間が必要でしたが、ORSは意思決定支援ツールを活用して何が出来るのかを示し始めています。
 究極的には、BI機能は決定された政策の効果測定を行なうことにより、政治的なプロセスに説明責任を加えることも可能と言えます。「ビジネスインテリジェンスはプライベートセクターにて長年にわたり広く使用されてきました」BIアナリストのナイジェル ペンセ (Nigel Pendse) 氏は言います。彼は毎年刊行されているBusiness Intelligence Surveyの著者であり、www.olapreport.comでのオンライン分析処理に関するレポート「Web-only OLAP Report」を提供するアナリストのリーダーです。
 「素早く状況が変化する民間の産業分野では、BIを活用して製品売上、競合状況、収益及び顧客収益性を追求してきました。政府や公共機関ではこのタイプの製品をあまり使用していません」

すべてが揃ったビジネスインテリジェンス

 「BIソフトウェアとは基盤となるデータベースソフトウェアやサーバーおよびそのフロントエンドを含み、データベースに問い合わせを行い、結果を複数の異なるフォーマットで表示します」とペンセ氏は語っています。Microsoft、SAP、 IBM そしてOracleはBI業界のリーダーですが、「大企業は良い仕事ができていない。生き残っている小さい会社のほとんどがいい仕事をしています」とペンセ氏は語ります。
 「大企業のBI製品は、異なる製品の組み合わせです」とペンセ氏は続けます。「Panoramaの製品は他のものより優れています。なぜなら必要なソフトウェアがすべて構築済みのテクノロジーに拠っているからです。インテグレーションの困難な問題がないのです。いろいろな製品を継ぎはぎして一緒にしたものではありません」
 NovaView®の、ダッシュボード、レポーティング及び分析機能がORSに選択された理由は、当時ではSQL Serverのオンライン分析プロセスとデータマイニング機能をフルパワーで活用できる唯一のBIツールだったからです。PanoramaはSQL Server のソフトウェアを開発し、1996年にそれをMicrosoftへ売却しました。
 「古い技術をMicrosoftに売却後、Panoramaはフロントエンド製品を構築しました。以降10年間すべてがうまく行きました」とペンセ氏は付け加えます。
 ORSがSQL Serverを選択した時、NovaView®がデータベースから情報を抽出するためのデファクトのフロントエンドBIモジュールでした。


 専門家の一部には、NovaView®のような製品は、データベースへの問い合わせと、その結果の理解のためには必ずしも必要ではないかもしれません。しかしORSの職員にとっては、そのツールはデータベースへのアクセスや利用をずっと容易にします。
 「5、6年前にORSでBIツールを使用する以前は、統計を担当する人は手作業ですべてのデータを集計しなければなりませんでした。今ではボタンをひと押しするだけでいいのです。分析も1日で出来るようになります。以前は数カ月かかっていたものでした」とORSのベイレイ氏は語ります。


キューブの構築

 BIツールを導入して以降、ORSは複数のデータベース、データキューブとも呼ばれています、を構築しました。それぞれのキューブは地域や州、合衆国全体から引き出されたデータから構成されています。
 「高齢者キューブ」と呼ばれているものが、高齢者の食事支援プログラムと健康状態の改善の相関を表す典拠となったキューブでした。健康状態の改善を表す指標は、プログラムにより食事の支給を受けた高齢者の、救急搬送と入院患者の数が減少していることでした。これらの相関関係に加えて、ORSが行なうことが出来る州の支出の効果測定が、州政府予算を食事支援プログラムに確保するのに貢献しています。
 2007年に、それらの基金は5,476食分の食事を支援するものとして支払われ、またその他の家庭・施設ベースの高齢者向けサービスにも支払われました。それらの実施結果のデータは、分析のためにORSへ少しずつ蓄積され始めています。
 「高齢者キューブを使用して統計値を分析することで、家庭・施設ベースのサービスへの年間1,000ドル以下の投資が、個人がそれぞれの家庭で自立と尊厳を維持するお手伝いをする、ということを見せたいのです。それにより高齢者福祉施設での1床あたり年間40,000ドル相当の支出、または24,000ドル相当のメディケア利用の平均的な患者の入退院の支出を止めたり遅らせています」とバウアー氏は表明しています。

 サウスカロライナの州都コロンビアにある非営利団体であるコミュニケア (CommuniCare) も同様にORSがBIを活用して例証する能力から恩恵を受けています。コミュニケアの使命は、サウスカロライナ州の無保険の労働者へ処方薬を提供することです。寄付金からのみでこの事業は運営されています。
 昨年、この非営利団体は3400万ドルを支給し、14,000人以上の患者に142,000の処方薬を分配しました。CEOであるケン トログドン (Ken Trogdon) 氏は語ります。
 「この組織が患者を助けているとは考えていましたが、ORSへ赴き具体的な数字が欲しいと申し出ました」
 コミュニケアは、患者がその団体に登録してから18カ月間を対象として、個人情報を伏せたデータをORSに提供しました。ORSはこれを、入院・緊急治療室の使用状況の指標と組み合わせて分析することにし、ある個人がそのプログラムに登録る1年前から始めて18カ月後までにデータ採集期間を延ばしました。
 ORSの分析が示したのは、コミュニケアから処方薬を受け取った糖尿病患者は、30か月の間に緊急治療室への搬入が27%減少し、入院件数は15%減少しました。
 高血圧の患者が必要な治療を受けた場合は、緊急治療室への搬入が33%減少し、入院件数は20%減少しました。
 向精神薬を処方され、その非営利団体から支給された人の場合は、緊急治療室への搬入が24%減少し、入院件数は31%減少しました。

 「以前は、自分たちが何か良いことをしているのだとは知っていましたが、それは暖かな言葉だけであいまいなものでした」とトログドン氏は言います。「数値を定量化することができれば、私達の存在意義と私たちがもつ影響力を示すことができることになります。もしも私達の州のように貧困が大きな問題となっている州で私達が何を行なっているかを示すことが出来たら、このプログラムが国全体にまで広がるチャンスがあるということです」
 ORSが最近追加した分析機能は、地区(カウンティー)、ZIPコードや選挙区に従って結果をマッピングする地理情報システムです。「マッピングシステムを使用して、すべての上院、下院議員とその選挙区の人々にこれらの問題を提示する事ができます」とベイレイ氏は言います。
 「政治家が再選したい時は、自分の任期中にものごとがどのように変ったかを見せることができます。もし十分に改善がされていない場合は、彼と州の部局は協同で作業することができます。これまで政治家は、選挙民のために、これらの問題の解決をするための確かなデータを持っていませんでした」
 ベイレイ氏は言及しませんでしたが、結果や成果を測定することのできる能力を持っているということは、政治家が自分の行動や政策の説明責任を果たすことが出来、また政治的なプログラムやイニシアティブが客観的に評価されうるということを意味します。

 データのキューブという概念は、ビジネスインテリジェンスの中心に位置づけられるものです。しかしこれらのキューブは一般的に思い浮かべられるような3次元の立方体ではありません。
 そうではなく、BIのキューブは多次元を持つことが可能であり、それぞれの次元が、とあるデータのカテゴリーを表している要素となります。
 データの要素は、分・時間・月の時間かもしれません。もしくはある人の病院を訪問した回数かもしれません。
 「典型的なキューブは5から10のディメンションを持っています。ソフトウェアはもっと多くのことができますが、人々はそれを理解するのが困難です」とナイジェル ペンセ氏は言います。
 データディメンションは、相関関係や関係性を見つけるために、リンク付けされ、もしくはクロス集計表示されます。Microsoft Excelのユーザーが、ある特定の行や列と関連付けられるセルを見つけ出すようなものです。実際、Excelは一番普及しているBIソフトウエアツールということができます。

 地域、州、合衆国からの膨大なデータ量を処理するため、サウスカロライナ州調査統計局はMicrosoft SQL Serverを使用して20のデータキューブを作成しています。さらに、現在も開発を継続してその数を増やしています。
 ORSではPanorama NovaView®を使用してデータキューブへキュエリーを発行し、州の部局が業務をより良く遂行するための情報を取り出しています。
 「ソフトウェアの利点は、リレーショナルデータベースとデータがどのように関係するかを定義することが出来て、さらにデータを定義すれば、コンピューターがあなたの仕事をすべて行ってくれることです」とORSの保健・人口動態調査グループのチーフのベイリー氏は語っています。

Panorama Softwareは、MicrosoftのGOLD CERTIFIED Partnerです。