2012.05.10

アメリカの政府機関にBI活用の動き
【Panorama Software Industry News より】

 政府機関でのビジネスインテリジェンスの活用が拡大する見込みです。最近発表された「メリトーク (MeriTalk) 」の調査によると、アメリカ政府では保有するデータ量が急増しています。このデータの大半は非構造化データであり、ビッグデータ分析に特化したBIを使用して、意思決定に必要な情報に転換することが求められています。また、アメリカ政府は今後のデータ変革への対応準備にかなりの時間を要することがわかりました。

 非構造化データの急増
 調査によると、データの規模が拡大し、整理と分類が追いつかない状況になっています。今回の調査では政府機関のIT担当の意思決定者が回答していますが、そのうち96パーセントが今後2年間で保有するデータ量が増加すると予測し、平均データ増加率を64パーセントと予測しています。しかも全体のおよそ3分の1は構造化されていないデータであり、情報がすぐに使用できる状態で分類されていないという実態が明らかになっています。この中には簡単に集計ができないデータが含まれている可能性があり、データ量は継続的に増大しています。過去2年間で非構造化データが増加していると64パーセントが回答しています。

 知識が必要
 分類されていない大規模なデータ分析にはいままでにない専門的な分析技術が必要になりますが、調査によるとそのような技術をもつ職員は十分に配備されていません。国防省の職員のうち42パーセントは、ビッグデータについての知識を得る準備を始めたばかりです。このような職員への技術の微妙な違いをトレーニングするプロセスがうまくいくかどうかが、成果を大きく左右することにつながります。

 「政府機関が保有するデータは情報の宝庫であり、非常に価値のあるデータが含まれています。そのデータを業務効率改善、意思決定に役立つ有用な情報に転換することが重要なポイントです。政府機関は効率的なデータの処理、分析、管理、アクセスができるビッグデータソリューションの導入を検討する必要があります。これによって任務遂行の効率を改善することができるでしょう。」調査を行ったソフトウェア会社のスポンサー、マーク・ウェバー氏はこのように述べています。

 医療機関での活用
 「バンクーバー・サン」の記事によると、カナダの政府機関によるBI活用例が紹介されています。カナダのブリティッシュ・コロンビア州ではこの10年間電子カルテを利用しており、各医療機関はBIによる大規模なビッグデータ分析プロジェクトに着手することが可能です。ビッグデータプログラムは個人情報保護の観点から懸念を生じる場合もありますが、調査プログラムに使われる全ての記録についてデータ・スクラブを行い、データセキュリティが確保できるでしょう。研究者はビッグデータ分析によって投薬治療の副作用などの傾向を把握しようとしています。