1. ビジネスインテリジェンス (BI) のBIツールならNecto™トップページ
  2. >
  3. ニュース
  4. >
  5. 2016年
  6. >
  7. ポケモンGoブームを支えるスマートデータの活用
2016.07.26

ポケモンGoブームを支えるスマートデータの活用
Panorama Software BI Blog より

 かつてのブームが去って何年も経過した今、ふたたびポケモンが脚光をあびるとは、だれも予想しなかったことではないでしょうか。1990年代に初めて「ポケモン」が登場し私自身よくカードゲームをしたものですが、拡張現実ゲームアプリ「ポケモンGo」の登場により、ポケモンとはどうやら長い付き合いになりそうです。私はいま、このポケモンGoが収集している膨大なデータを、スマートデータディスカバリソリューションを利用してどのように分析することができるか、ということを考えているところです。ポケモンGoは公式には現在3か国でしか利用できないとはいえ、アプリ利用時間の長さではすでにコミュニケーションアプリのワッツアップ (WhatsApp) 、インスタグラム (Instagram) 、スナップチャット (Snapchat) を抜き、一日のアクティブユーザー数ではTwitterと数を競っています。この成功の秘訣はなんでしょうか。

Pokemon Go

 多くの人は「ポケモンGo」の活況の理由をAR(拡張現実)技術を応用したカメラであると考えています。しかし本当はデータをゲームの中にとりこんで活用しているところが受けているのでしょう。ポケモンGoはスマートフォンのARカメラを通じてあたかも世界中のそこかしこにポケモンがいるような感覚をユーザーに提供しています。この技術によりユーザーはポケモンと共存している感覚を得られます。ポケモンは彼らの生息に適する環境の近くで発見され、例えば「水タイプのポケモン」は池や海岸の近くで発見されます。これはAR拡張現実機能のおかげではありません。ポケモンとのリアルな共存感覚は。ポケモンの出現スポットを完璧に配置しておくことで得られます。アプリ開発者はこれを、スマートデータを利用してゲームに転換することで実現しています。

 このゲームアプリには位置情報やスマートフォンの中の個人化されたデータが多く取り込まれており、それが仮想世界と現実世界とがシームレスに一体化しているような感覚を作り出しています。そのためゲームデザイナがまるでそれぞれのポケモンをカスタム配置しているような感覚を与えています。しかしゲームは世界中でプレイできるもので、このようなレベルでの個人化された情報と位置情報をうみだす方法はひとつしかありません。それはスマートデータを非常にうまく活用しているということです。

 ポケモンGoを制作したナイアンティック社 (Niantic, Inc.) は「グーグルアース」、「グーグルマップ」の開発にもかかわっていた技術者集団です。2012年に位置情報を利用した「Ingress(イングレス)」という別のゲームを制作し、これもデータ収集の手法を持つゲームで、実際に収集したデータのほとんどが今回ポケモンGo制作のために提供されました。イングレスは「ポータル」と呼ばれる史跡や公共の施設をユーザーが獲得することで進めるゲームです。史跡や公共施設を「ポータル」として指定するかどうかはグーグルアースの写真を使って決定します。もともとはナイアンティック社がそれらの場所を選定していましたが、次第にユーザーが自身の推奨するポータルの場所を申請してもよいことになりました。およそ1千5百万もの場所が申請されています。これらの「ポータル」が持つ情報を使ってその後「ポケストップ(ゲームに使うアイテムを取得できるスポット)」の場所を決めていきました。ナイアンティックは、グーグルアース、天気、都市計画、グーグルマップなどから取得するデータ、イングレスやイングレスのユーザーが生成したデータをもとに、ポケモンをどこで出現させるかを決定しています。このためポケモンGoは、現実の感覚に非常に近いものになっているのです。

 「スマートデータ」はビジネスの実践やより効率よい意思決定に役立つものですが、ただゲーム制作のための資源というだけではなく、ゲームの結果得られるものでもあります。このゲームではユーザーに関する膨大なデータ(主に位置情報や行動パターンに関するデータ)を生成している一方で、個人の電話機のなかの多様な情報を利用することもできます。そうしたデータすべてが事業活動にとって非常に意味のあるスマートデータなのです。経済誌フォーブズ (Forbes) によると、ポケモンGoによって膨大なビジネスの可能性がうまれると述べています。「ポケストップ」を設置する飲食店や店舗が出現し、ゲームのユーザーと同時に店の顧客になる可能性のある人々を誘引するというメリットを最大限に活用しています。さらにたとえ「ポケストップ」に設定されない場合でも、店舗が「ルアー(疑似餌)」を購入することによって自分の店舗にポケモンらを誘引し、ひいてはユーザーを誘引することもできます。そういう場所ではユーザーにはWi-Fiを使いたいという要望がありますので、企業はログインできるWi-Fi環境を整備して顧客に関する多くのデータを収集することもできます。生成したデータを分析し意思決定に役立つ洞察に変えるまでには、さまざまな課題もでてくることでしょう。そのときこそBIおよびスマートデータディスカバリソリューションの出番です。