2017.03.21

全社集中管理型BIで競争力を高める 通信業界
Panorama Software BI Blog より

 通信業界では、他社との競合、規制、技術の進化、継続的な技術革新、新しい機能やサービスを求める顧客需要への対応などについて、多くの課題に直面しています。通信業界の企業が直面する課題のひとつは、生成するすべてのデータから洞察を取得することが困難であることです。

 携帯電話の使用、通信の詳細な記録、ネットワーク設備、課金情報、サーバーログ、加入契約者やユーザー企業との接続性の増大などによって、通信業界の企業は膨大な規模のデータを生成しています。

 通信業界の企業は全社集中管理型のBIツールを使用してこのデータを分析することで、競争上の優位性が得られます。全社的なネットワーク性能が向上し、サービスレベルの最適化、経費・間接費の削減、顧客ロイヤルティを確保することによる売上利益の増加が可能になります。

 ガートナーによると、「通信業界でのアナリティクスの導入は、中心となる事業運営、社内の業務プロセス、及び市場環境の可視化をすすめ、ビジネスの傾向を理解し、しっかりとした予測を立てることを目的としています。」

 BIの活用によって競合他社に対する優位性を保つことができ、常に顧客のニーズを予測することが可能になります。BIによって目標とする利益幅を確保するために投資に関してデータ主導型の意思決定ができます。またデータを複数のデータソースや部門から取得する場合も統一されたデータのビューを見ることができ、ユーザーはビジュアル表現に優れ、理解しやすいダッシュボードでデータを分析、参照することができます。

 さらに同僚との共同作業でデータに所見や注釈を追加してデータを詳しく表現することができます。またデータに変動が発生した場合や例外が発生した場合には通知を受信することができます。このような利点によって通信業界では多くの企業がBIを最優先のソリューションととらえています。

 ガートナーによると、クラウドおよびスマートデータ技術やソリューションへの支出は2019年までに世界全体で3兆8千億ドル(およそ425兆円)にもなると予測されています。そのうち1兆4500億ドルが通信サービス分野への投資とみられています。また、別の予測「通信業界における世界のデータアナリティクス市場 (Global Data Analytics Market in Telcom Industry) 」によると、通信業界でのデータアナリティクスツールの使用は2018年まで、年平均成長率28.28%で成長すると言われています。

 成功へのカギは接続性
 とりわけ通信事業においては成功の鍵はデータの接続性を確保することです。通信事業では多くの部門でデータを生成し、何らかの方法でデータをマージして、相互に関連する洞察を発見する必要があります。こうしたことは分散型BIではうまくいきません。分散型BIとは、それぞれの部門が連携せず分断したまま業務を行っている状態を意味します。ユーザーはそれぞれのデスクトップPCで作業を行います。デスクトップ機で分析を行うことで、洞察を発見しても各ユーザーの所属する部署にとどまり共有されることがありません。したがって他の部署は洞察を有効に活用することができません。それだけでなく、企業内のすべてのユーザーが同一のバージョンのデータを参照することが確保できません。多くのユーザーがばらばらのデータや洞察を参照するため、複数のバージョンの「真実」が存在するという状態に陥ってしまいます。その結果、データ分析や洞察のためのプロジェクトとして始まったものが、データの混沌や「エクセル地獄」といった事態を招くことになります。

 通信業界の企業が全社集中管理型BIに移行しなければならない理由はここにあります。全社集中管理型BIはすべての社内ユーザーが効率よく連携できるネットワークを提供します。すべてのユーザーは統一されたウェブソリューション上で分析作業を進めることができます。システムのデータはリアルタイムで更新されるため、どのユーザーも「シングルバージョンの真実」を参照できます。全社集中管理型のBIツールを使うことでマーケティング部、財務部、顧客サービス部門、営業、エンジニアリング゙など多様な部門から収集したデータを分析することができます。データ参照権限を適切に設定することで、それぞれの部門がデータと洞察を共有できます。こうして企業全体を総合的にみた分析ができ、ばらばらの部署やデスクトップPCに分断されて作業することなくすべてのユーザーがつながり、どのユーザーも「シングルバージョンの真実」を共有できるため、相互の分析結果を共有して利益を得ることができます。

 全社集中管理型BIではユーザーは多様なシナリオをモデリングすることが可能です。さまざまなデータソースを分析して、不要な出張サービスの派遣を事前に把握したり顧客経験の改善、サービスコストを削減する方法を発見することで、データ主導による営業拡大戦略を策定することができます。またユーザーは主要な業務プロセスとKPIを連動させてチェックでき、Panorama Necto™はユーザーが注視するKPIデータに変動があれば自動的にメールでアラートを発信します。

 可能性は無限大ですが、通信業界にとって最も重要な顧客とネットワークの2つの点に絞って利点をご紹介しましょう。

 顧客対策とビジネス・インテリジェンス
 Necto™は顧客の行動について洞察を自動的に提示します。受信契約者がどのようにサービスを利用し、閲覧しているかを正しく分析することで、顧客解約率を削減し、顧客維持率を改善し、特定の分野に対象を絞って商品やサービスを提供できるような、洞察を生成することができます。

 通信業界の最も大きな課題のひとつは顧客解約率を削減して市場での差別化を維持することです。これを達成するには顧客経験の改善が大変重要です。

 BI活用によって企業は質のよい顧客経験を提供することができます。例えば非常に細分化された販促を行って顧客離れを回避することができます。顧客の行動や属性によって分析し細分化します。また効果的な顧客セグメント化、目標設定、ポジショニングができるような洞察を得ることもできます。

 これは、適切な提案を、適切な顧客にピンポイントで、適切な文脈で提示できるということです。顧客転換率が改善しBI活用によって常に変化しつづける市場の状況や契約ユーザーのニーズの変化に応じて、データに基づく対策を講じて、実施することができます。

 活用例:
 加入契約者の利用パターン、課金情報、購入履歴、好まれる機器の傾向、顧客層のデータ、位置情報などのデータを交差分析すると、より高額な契約や関連するサービスの契約(アップセル及びクロスセル)の機会をつかむことができるでしょう。さらに顧客の指向や契約履歴などにもとづいて、個別の顧客を対象としたアップグレードの販促を行うこともできます。

 さらにBIを活用してカスタマージャーニーの追跡も可能です。顧客の企業とのやりとりや、ライフサイクル上で顧客のおかれた位置などを組み合わせて分析しています。カスタマージャーニーなどのデータを分析することによって、次に顧客が求める最良の取引を適切なタイミングで提示することができます。こうすると潜在的な顧客を実際の顧客として確定させるのに役立ちます。また顧客離れの回避にも役立ちます。

 顧客離れ(解約)は今、通信業界の最大の関心事の一つです。IT市場分析企業「Ovum」が行った調査によると、世界各国の通信事業者が来年度も維持できる顧客は、各社が現在保有している顧客のおよそ半分しかありません。これは戦慄すべき統計データです。しかし幸いなことにBIのデータ分析によって顧客離れを回避することが可能です。では、どのように分析を行うのでしょうか? 通信会社はサービスの質、課金情報、ネットワーク性能を分析することによって顧客離れ防止の対策を策定することができます。ネットワーク上の製品ログや顧客の通信記録を分析して、SLA(契約により保証しないといけないサービス品質)やエンドユーザーに対して要請されるサービスの質を目標レベルとして、通信キャリアとしてのパフォーマンスを測定するための洞察を取得できます。また顧客の行動を分析し、もっとも解約する可能性が高い顧客を特定することもできます。次にこれを防止するための必要な対策を実行します。例えば顧客維持の販促活動を始めることができます。

 ネットワーク
 ネットワーク容量の確保は、通信業界では非常に優先度の高い事項です。したがって通信会社はネットワークに対して設備投資を継続的に行い、モバイルデータの急激な増大に対応しようとしています。通信事業者は年間売上額のおよそ20%を設備投資にまわす必要があると見られています。BIはネットワーク拡張計画をするうえで、優先事項の決定や適切な意思決定を支援します。

 地理的データアナリティクス機能を使って、受信可能エリア率、サービスが利用可能な人口の割合、サービスが利用できない区域の平均値などのカバレッジ情報(サービス提供可能地域情報)をインタラクティブに分析することができます。Necto™はユーザーが地図上で例外を確認できる唯一のソリューションです。さらに、受信契約者、ネットワーク、データ転送量、位置情報など複数のデータソースを統合してデータを分析し、ネットワーク容量の計画を最適化する洞察を取得することもできます。

 BIを使用してリアルタイムでネットワークトラフィックを分析し、ネットワークの使用容量がもっとも高い期間を特定することができます。次に回線の混雑ポイントを緩和する取り組みを行い、通信停止の可能性を事前に防止します。こうして、そのエリアへの新しいネットワーク拡張戦略を決定することができます。一方、ネットワーク容量が過剰なエリアがある場合は、データの取り込みを増やすための具体的なマーケティングの取組みを行います。こうしたネットワーク容量の最適化によって毎年数億円規模の多額のコストが削減できます。

 通信業界でNecto™が選ばれる理由とは
 優れたBIソリューションとは、展開が容易で、見やすく美しいダッシュボードにデータを表示し、最新鋭のアナリティクス機能、自動洞察表示、KPIアラート表示機能があり、これらを管理統制されたシステム上で提供するものでなければなりません。ユーザーは複数のデータソースに接続してすべてのデータを統合、マッシュアップする必要があります。スクリプティングを必要としない全社集中管理された環境でユーザー規模を拡張し展開する必要があります。さらに業務の状況を常に把握し、変化が発生した場合に即時に対応するため、KPIアラートや通知を自動的に受信できる機能も必要です。

 Necto™はその高度な機能をすべてご提供するBIソリューションで、共同作業での分析、情報の共有、発見についてのディスカッションなどを同一のプラットフォーム上で行うことができます。データに内在する表面には現れにくい洞察を明らかにし、インフォグラフィックを使用して見やすく美しいダッシュボードに表示します。Necto™はセキュリティ対策が万全で、しっかりと全社で集中管理され、ウェブで展開できるオンプレミスのソリューションです。